猫の目 猫のための快適な住まいと動線つくり

~猫の目シリーズ①~ [猫のための快適な住まいと動線つくり]

人は住みやすい家づくりを考えるときに、より快適に暮らすための「生活動線」を考えると思います。「生活動線」とは日常生活で部屋などの空間を動くための経路。家の使いやすさはこの動線がうまくつくられているかどうかが大切です。

人と一緒に暮らしている猫にとってもそれは同じこと。家の中で猫の動きにあった経路が確保されることで居住性が高まり、猫にとっても快適な部屋づくりができるのです。

ゾーニングと動線

家の中は大まかに分類すると、リビング・ダイニング・寝室・キッチン・浴室・トイレ そしてそれぞれを結ぶ廊下や階段といった、機能ごとの空間があります。その空間の間取りを考えることを「ゾーニング」といい、このゾーニング間での人の動きを線であらわしたものを「動線」といいます。家の中でより過ごしやすい空間にするには動線を考えることが大切と言うわけです。

快適な家の4つの動線ポイント

1.家事動線… 炊事、洗濯、掃除など家事をする動線
2.通勤動線… 家族それぞれの部屋とリビングや玄関を結ぶ動線
3.衛生動線… トイレや浴室へ移動するための動線
4.来客動線… 来客の移動をあらわす動線

人が快適に暮らすためにはこの動線をより短く、交差しないようしたほうがよいとされています。では人と一緒に暮らしている猫はどうでしょうか?猫の動線を考えるためには猫の習性や行動を知った上で考えるといいでしょう。

猫の行動範囲

猫の行動範囲ってどのくらのものなのでしょう。猫はそれぞれ縄張りをもっています。室内飼いの猫はホームテリトリーとして寝たり食べたりする場所を確保してその範囲で生活をします。またそのホームテリトリーを中心に直径500m以内の範囲にハンティングテリトリーをもち周辺の環境を頭にいれながら、共有地内として行動します。家猫は狩りをする必要はありませんが、自分の縄張りを守るという本能から、このハンティングテリトリーである自分の縄張りが侵されていないか見回りをします。家の中で猫がウロウロと単独で歩き回っているのは、その行動をしている最中というわけです。

猫の好きな場所

家猫が居心地がよいと感じている場所は大きく4つの空間に分けられ、これらの空間が猫にとって家の中の快適な居住スペースとなるわけです。

🐈暗くて狭い場所

猫は本来単独行動をする生き物です。猫の本能でもある獲物を狙いながら、身を守るという名残が家の中での物陰や家具に隠れたり、狭い隙間に入るという行動に表れるようです。またその狭いスペースは外敵に襲われない安心スペースなので、猫も気を抜いて眠ってしまうという訳です。

🐈高い場所

平衡感覚に優れている猫にとって高い場所は『自分の存在を誇示し優位に立てる』 『高いところから周りを見渡して危険を察知する』 『高いところに上ることでエネルギーを発散できる』という意味をもっています。家の中のシューズロッカーやタンスの上、窓際、カーテンレールの上など高いところによくのぼっているのは、より高いところを大切な場所としているからなのです。

🐈飼い主と一緒にいる場所

家で飼われている子猫、高齢猫、甘えん坊な性格の猫は特に信頼できる人が近くにいる場所を好みます。飼い主がリビングや部屋でくつろいでいると、どこからともなくやってきて、飼い主の側で安心してくつろいでいると思います。飼い主が愛猫を家族の一員と思うように、猫も飼い主の側にいることで安心を得ているからなのです。

🐈日向ぼっこができる場所

猫の体温は38度ほどあるといわれています。猫が日向ぼっこをするのは陽にあたることで体温調整をしたり、清潔を保つために被毛についた菌を殺菌したりしているからです。家猫は陽がよく当たる場所を知っています。自分の体温を調整しながら日向に移動したり、日陰に移動したりしてくつろいでいるはずです。

猫の動線を妨げないポイントと解決方法

家の中で暮らす猫の動線は先に述べた『猫の行動範囲』の中で『猫の好きな場所』を転々と行き来する経路と言えます。また家猫の動線は人との動線とは異なるため、一緒に暮らす家猫ができるだけストレスのかからないような動線づくりを考えてあげる事が必要です。

部屋のドアを開けておく
高い所にも行けるようにする
猫が入れる小さなスペースをつくる
それぞれの部屋に居心地のいい場所をつくる

🐈猫ドア

猫が部屋を出入りするので部屋のドアが閉められない。閉め切ると部屋を出入りしたくて鳴いたり、ドアを引っかいて傷つけてしまうことがあります。

猫ドアは猫が自由に部屋を移動でき、行動できるのでおすすめです。猫ドアの種類も豊富でDIYなどで取り付けできるものもありますが、その際は『ドアや部屋の壁に穴をあけていいのか』 『猫のサイズにドアが合うかどうか』など確認する必要があります。

🐈キャットウォーク

猫の本来もっている本能を充分に発揮でき、猫にとって満足が得られるキャットウォーク。高い、狭い場所に猫専用の通り道として設置したり、出窓がない家の窓際に設けることで日向ぼっこができるスペースを作ってあげる事も出来ます。家猫が自在に人の動線と交わることもなく、自在に動き回れる動線として使えるアイテムといえます。キャットウォークの素材や種類も様々ありますが、猫目線で考えるのであれば専門家に相談して設置するのがベストです。

🐈キャットハウス

一日の大半を寝て過ごす猫にとって狭くて、くつろげるキャットハウスはとっても安心できるスペースです。キャットハウスといってもドーム型・ハウス型・ベッド型・ハンモックタイプなど種類も豊富です。選ぶ基準としては猫の身体がすっぽり入るものがおすすめです。猫の好みもあるので、材質も愛猫にあったものを選んであげると、落ち着いて過ごせる居心地のいいスペースになります。

まとめ

最近では猫を室内で飼うことが当たり前になってきています。外猫に比べ室内で飼う猫は怪我や事故などの心配もなく、健康管理もしてあげられるので長生きすることができます。しかし、本来猫は自由奔放に動き回ることが好きな動物。室内で安全な環境が整えられても「人と暮らしていく室内の広さや空間で問題ないか?」と考えている飼い主の方も多いと思います。

また家の中での移動は毎日のこと。だからこそ、猫にとっても動線の設定を間違えると大きなストレスのもとになりかねません。まずは人の住まいの間取りと愛猫の動線を専門家と一緒にシミュレーションをしてみてはいかがですか?そうすれば、皆様にあった「愛猫と暮らしやすいストレスフリーな住まいの動線」がきっと見えてくるはずです。

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